ニュースの概要

Cprint3Dが、鋳造用の砂型を3Dプリンターで造形する際の設計ガイドを公開した。砂型設計で確認する要素として、型の分割、パターン(=製品形状を型に写す原型)、湯道、押湯、通気の五つを挙げている。ポンプハウジングを題材に、完成品の図面が持つ要求を、実際に造形でき、溶けた金属を流し込める型へ置き換える流れを説明する。また、直接造形した砂型や中子を、量産に入る前の工程検証に使う方法にも触れている。木型を前提にした従来の設計と違い、3Dデータから型そのものを作れるため、設計変更や複雑な形状への対応がしやすくなる点が背景にある。

引用元: 鋳造用砂型3Dプリンティングの設計要点を解説(Cprint 3D)

分析・見解

木型がなくなると、設計の制約は何が変わるのか

従来の砂型鋳造では、木型(=型の空洞を作るための原型)を砂から抜けることが大前提だった。そのため製品には抜き勾配(=抜きやすくする傾き)を付け、分割面も木型が抜ける位置に決めていた。中子(=中空部を作る砂の塊)も、置ける形に限られた。

3Dデータから砂型を直接造形すると、この前提が外れる。抜き勾配は不要になり、組み立てていた複数の中子を一体で作ることもできる。ガイドが木型を前提としない設計を強調するのは、制約が減って設計者の判断の幅が広がるためだろう。

五つの要素は別々の項目ではなく一本の連鎖である

分割、パターン、湯道(=溶けた金属の通り道)、押湯(=縮む分を補う金属だめ)、通気は、チェックリストに見えて実は連鎖している。分割面を変えれば湯の入る位置が変わり、最後に固まる場所が動き、押湯の置き場所も変わる。ガスの逃げ道も湯の流れる向きと合わせて考える必要がある。

ポンプハウジングはこの連鎖が分かりやすい部品である。内部に流路があり、肉厚が場所ごとに違う。厚い部分に押湯が届かなければ巣(=内部の空洞欠陥)が出る。薄い部分は湯が先に冷えて回りきらない。型を自由に作れても、この物理は変わらない。むしろ形の自由度が増えた分、湯の流れの検討が甘いまま造形へ進む危険が増す。

砂型ならではの癖が新しい落とし穴になる

プリントした砂型には、通常の鋳物砂の型とは違う癖がある。積層方向で強度に差が出ることがある。結合剤(=砂粒をつなぐ樹脂など)の種類で、注湯時のガス発生量も変わる。ガスが多いのに通気が弱ければ、鋳物の中にガス欠陥が残る。表面の粗さは、仕上げ代の見積もりにも響く。

つまり設計者に求められるのは、形を自由に描く力より、型の中で起きる現象を事前に読む力である。凝固解析(=湯の流れと固まり方を計算で予測する手法)と実際の注湯結果を突き合わせ、自社の基準を蓄積した会社が強くなる。木型時代は勘と経験で補っていた部分を、データで説明できるようになる点も大きい。

量産前の工程検証という使い方が最も現実的

ガイドが触れる、直接造形した型を量産前の検証に使うという点は、実務で最も取り入れやすい。量産用の木型や金型を作る前に、湯道や押湯の案を実際に注湯して確かめられる。欠陥の出方を見て設計を直し、確信を得てから量産型へ進めば、高額な型の作り直しを避けられる。

ただし、型一つあたりの費用は数量が増えても下がりにくい。砂型プリントの量産向きは、少量で複雑な部品に限られる。試作と少量は砂型プリント、数量が増えれば従来型という二段構えが、当面の現実解だと考える。納期の短さが受注の決め手になる場面も増えている。

ビジネスへの影響

最初の一歩は、過去の不具合品を題材にした検証

いきなり新規案件で試すより、過去に巣やガス欠陥で苦労した製品を選ぶ方が効果を測りやすい。比較の物差しが手元にあるからだ。用意するものは、製品の3Dデータ、過去の不良記録、凝固解析の結果の三つである。造形機を買う必要はない。まずは造形サービスに型だけを発注し、自社で注湯する形で十分に始められる。

見るべき指標は四つに絞るとよい。型が届くまでの日数、型一つあたりの費用、不良率、寸法の精度である。これらを従来の木型方式と並べて記録しておけば、次の案件で使える自社の判断材料になる。

木型への投資は、数量と設計変更の見込みで見直す

木型は数量が出れば一個あたりの負担が小さくなる。一方で、設計変更が入るたびに修正や作り直しが発生し、納期も延びる。そこで、初年度に変更が多そうな製品は砂型プリントで始め、図面が固まった段階で木型へ切り替えるという考え方が成り立つ。数量と変更回数の二軸で簡単な損益分岐表を作り、案件ごとにどちらの方式が有利か判断できるようにしておきたい。

ポンプやバルブ、産業機械のメーカーなど、短い納期で試作を求める顧客には、この切り替え方式が提案の武器になる。

木型職人の知識を、データに残す仕組みを急ぐ

3Dプリントになっても、分割面の取り方や湯道の置き方を決める判断力は、木型づくりの経験から生まれている。ベテランの頭の中にある基準を、設計ルールや過去の不良事例集として整理し、データと一緒に残しておきたい。若手には、実際の注湯結果を見ながらベテランと設計案を議論させると、図面だけでは伝わらない感覚が早く身につく。解析結果を職人が読み解いて修正する体制ができれば、技能の継承にもつながる。

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